「高校に入ったら、中学より空気がラクになった」
これは、気のせいではありません。
ただし理由は、「みんなが優しくなったから」ではなくて、もっと無機質な話。
入試が「思考の初期設定が近い人」を集める装置になっているから。
入試が直接測っているのは「思考の置き場」そのものではありませんが、
結果として「置き場が近い人」をふるい分け、集まりやすい構造になっています。
高校入試・大学入試は何を見ているのか
まず大前提として、入試が直接見ているのは「枠(与えられた前提)の中で正解に到達する力」です。
- 読解(文章・条件・数式の意味を正しく取る)
- 処理速度と正確性
- 抽象化(公式や概念を道具として扱う)
- 作業記憶(複数条件を同時に保持して操作する)
つまり、
「与えられた前提の中で、正解にたどり着けるか」
を見ていますが、
これは以下にかなり近いのですが、
「どこが問題か」は、出題者が決めている
受験者は、その枠に合わせて走るゲームです。
- IQの中核部分
- 思考のエンジン性能
入試は「思考の置き場を揃える装置」
入試の世界は、かなり特殊です。
- 問題設定が与えられる
- 評価軸が固定されている
- 正解が存在する
という、かなり特殊な世界です。
この世界で強い人ほど、こういう操作が上手い。
- 前提を疑わず(まずは)受け入れる
- 感情を混ぜずに処理する
- 与えられた枠内で最短距離を取る
言い換えると、
「思考の置き場を問題文に合わせられる」。
この能力が一定以上の人たちが同じ学校に集まるので、自然に会話がスムーズになります。
結果として、以下のような状況になるからです。
- 前提を共有できる
- 話の前段を省略できる
- いちいち感情でズレない
だから高校(特に進学校)は話が合いやすい
中学と高校の空気の違いは、性格より構造です。
中学校で起きやすいこと
- 思考の置き場がバラバラ
- 感情・家庭・身体成長の影響が強い
- 「なぜそれが問題なのか」が共有されていない
→力関係・空気・感情で衝突が起きやすい
高校(特に進学校)で起きやすいこと
- 読解力・処理能力が一定以上揃う
- 「課題が出たら解く」という姿勢が共有される
- 思考を外在化(ノート/言語化)しやすい
→問題は問題として扱われやすい
いじめ問題が起きにくくなる理由
いじめがゼロになるわけではありませんが、思考の置き場所が揃うと、
- 理不尽さが言語化されやすい
- 周囲が「それ、おかしくない?」と気づける
ので、いじめが発生しにくく、拡大もしにくい傾向があります。
入試では「地頭も揃う」のか?
地頭が揃う、というのは
思考の初期位置が近いという意味でもあります。
具体的には、
- 話の前提を省略できる
- 「で、何が問題?」が通じる
- 感情論が割り込んでも戻ってこられる
これはIQの高さというより、
「思考をどこに置くかを、無意識レベルで共有できている」
状態です。
だから会話が速いし、摩擦も少なくなりますので選考試験では重要な役割になります。
「置き場が高い」ではなく「揃えられる」に過ぎない
ただし、忘れてはいけない大事な注意書きがあります。
入試で集まるのは、必ずしも
「思考の置き場が高い人」ではなく、
「置き場を揃えられる人」です。
だから、学校の外(正解がない世界)に出た瞬間に、
- 何が問題かわからない
- 評価軸が揺れると止まる
- “正解がない”ことに耐えられない
みたいなことも普通に起きます。
ただ、これは能力不足というより、訓練されていないだけです。
入試の役割と、社会で必要になる追加スキル
入試は、主に
- 思考のエンジン性能
- 前提に合わせる力(枠内走行)
を見ているにすぎません。
その副作用として、
思考の初期位置が近い人が集まる → 話が合いやすいが起きる。
そして社会で差がつくのはここ。
思考の置き場を、自分で動かせるか
これは別の能力で、
学校ではほとんど訓練されません。
ここが、社会に出てから差が開くポイントです。